NEWS

21年度予算とその報道の『東京一極集中』

2008.12.25 | 過去のブログしんじ

平成21年度の政府予算案が閣議で決定されました。世界的な金融危機・景気の急激な悪化を受けて、景気・雇用対策や社会保障費の増加で、一般会計総額は過去最大の88兆円となりました。財政再建路線を一時棚上げにして、歳出の増加を図ったのは、緊急避難的な手段としては正しいと思います。

さて、この予算では小泉内閣以来削減されてきた地方交付税は増えましたが、地方にとってどう見るべきなのでしょうか?

地方の予算は、国から与えられる地方交付税と補助金、地方税、そしてそれぞれの自治体が発行する債券が主な収入となります。そして、主要な財源である地方交付税は、国が毎年定める地方財政計画によって算定されます。つまり、国が地方自治体全体の予算の骨格を決めるわけです。全体として、地方の人件費はいくら、社会保障費はいくら、投資的経費(公共事業費)はいくら、一般経費はいくら、という具合に、自由に使えるのが建前の交付税ですが、算定の段階で内容にまで踏み込んでいるのです。

今年の地方財政計画はと言うと、交付税総額は増えたものの、その内訳は、自然に増加する社会保障費が増えた一方で、人件費と投資的経費はマイナスというものです。これは、地方の規模を縮小しようとする小泉内閣以来の基本方針のままです。地方の人員は、今年が3万人、来年は2万5千人の削減となり、この2年間で18人に1人(5.5%)減らす計算です。一方、国の公務員は、同時期に1%も減りません。こうした事実、つまり「地方では血の滲むような行財政改革をし、国では殆ど進んでいないということ」は、新聞やテレビではあまり報道されず、一般にも知られていません。今回の予算案の報道でも然りです。

私は、去る12月定例会の代表質問で、「次の京都府総合計画で、活力と夢と希望ある京都の姿を描くはずだが、それを実行しうる人的・財政的な整備はきっちりとできているのか?これまで通り、人と予算を削り続けるだけでいいのか?」と問いただしました。知事からは明確な答弁はありませんでしたが、それは上記のような理由から、国が地方を縮小しようという方向で動く限りそれは難しいというサインなのだということです。

この度の地方財政計画やマスコミの報道で、地方分権の必要性が声高に叫ばれながら、政治も行政もマスコミも依然として東京からしか物を見ていないのが現状なのだと再認識しました。

pagetop