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良好な山は、豊かで安全な国民生活の礎である

2009.02.07 | 過去のブログしんじ

去る5日、地元京北の黒田に作られた治山ダムを見に行きました。治山ダムとは、山・森林の保全を目的に作られる土砂の流れを食い止めるためのダムです。

戦後の住宅建設ラッシュで全国の山々が禿山になりましたが、そのあとに国策によって建材用のスギや檜など針葉樹ばかりが植林されました。間伐されることを前提に密集して植林された森林は、林業の長期低迷の中で放置され、細い木が密集して日が差し込まず下草も生えない薄暗い森になっっているところも少なくありません。そうした木々は根も弱く浅いので、谷筋に生えているような木は、大雨による増水で根こそぎ倒されたりします。こうしたことが続くと、木は倒され、山の保水力はますます低くなり、土砂は流出し、下流の土砂災害も深刻となります。一方で、広葉樹の生える余地もなく、木の実も下草も無い山に住めなくなった鳥獣がどんどん里に下りては田畑に餌を求めるのです。

根本的には、一度人の手が入った森林は手を入れ続けて、長い時間をかけて良好な森林に再生させる必要がありますが、当面の土砂災害を防ぐには、谷筋の土石流を食い止めて、それより下流の被害を少なくする治山ダムの建設も応急処置としては効果があります。しかし、やはり健全な森林を創るという抜本対策こそ力強く進めていくべきものです。

私は当選以来3回本会議での質問全てで、森林環境税(都道府県の半数以上で導入済み)を創設し、都市住民を含む府民の広く薄い負担によって、府などの公的機関が間伐を中心とした森林の整備を主導することが、過疎・高齢化に苦しむ中山間地域の活性化のためには必要不可欠だと訴え続けています。

水・空気という人間に不可欠な物質を育み浄化する山、多くの動植物を育む山、健全に保たれることで下流域の土砂災害や水害を食い止めている山。「良好な山は豊かで安全な国民生活の礎である」という事実すら見えにくくなる程に都市化が進んだ現代ですが、しかし環境保全に対する意識は今までになく高まっています。今こそ、京都府も森林環境税の導入、ないしはそれに見合う予算付けを行うべきです。治山ダムの視察を機に、改めてその想いをここに書き記しました。

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