NEWS

聾学校の運動会で見た「大切な光景」

2010.09.29 | 過去のブログしんじ

秋の話題が続きますが、今回は「スポーツの秋」です。今朝、右京区御室にある府立聾学校の運動会に行ってきました。聾学校には、地元ということで事あるごとに足を運んでいます。明治初期に、篤志家の古河太四郎氏が設立したという経緯のある学校です。先人の、故郷や社会的弱者に対する慈愛に、ただただ感心するばかりです。

聴覚の障害がある生徒達、複数の生徒は他の障害も併せ持っています。その受け入れざるを得ない現実に正面から立ち向かい、日々必死に努力する様子が伝わる運動会は、本当に胸を打つものがあります。

我が子が幼い頃は「うちの子に限ってどうして」と悩まれたことでしょう。そうした日々を越えて、今は我が子に懸命に寄り添い、日々の小さな成長の一つ一つに大きな喜びを感じられているであろう保護者の方々の温かい眼差し、それはすべての子に向けられているように感じます。そして、卒業生を社会で自立できるようにと日々労を惜しまない先生方。

こうした大人達の温かさに包まれているこの聾学校は、いつも非常に家庭的な雰囲気を持っています。幼稚園から高等部まで、幅広い世代のハンディを負った子供たちが、助け合って生きているこの「村」というか「大家族」の光景に、私はいつもぐっとくるのです。

繰り返しますが、この学校は、古河太四郎という篤志家の大きな功績のもとに一つの民間の聾唖院として出発しました。その先人の慈愛が基礎にある聾学校という大家族で繰り広げられた無数の人間ドラマを想像するにつけ、我々日本人が失いつつある大切なものを思い出すのです。「先祖から引き継いだこの故郷のために、自分は今、そして後世に何ができるのか」と、そして「厳しくとも現実にしっかりと向き合い、腐ることなくひたむきに生きる」と。

こうしたことを思うにつけ、物質的には豊かになっても満たされず、ひとたび不況になると、不足や不満が渦巻く日本で、「幸せとは何か」と、改めて考えざるを得ないのです。

pagetop